いおり日記

大阪市淀川区 いおり鍼灸院 院長・金澤秀光が綴る東洋医学に関するよもやま話。  「心身一如」の古典医学に立脚し、個人の有り様と、人間を取り巻く環境との相関的視点から気ままに書いています。 過去のブログ記事はこちらへ→http://iori-hermitage.sblo.jp/

育ての親より・・・

菊・・・古風で落ち着いた感覚がする



 お正月気分も、ようやく抜け出したかな?と思いきや急な寒波。

  年明けから、お腹の不調を訴える方、多いですね。

 七草粥も終わりましたが、しばらくあっさりとしたもので少食にすると、回復が早いですし快調になりますよ。

 ところで、以前からちょくちょく臨床現場で耳にしていたことのひとつに、自分の今の病気は、遺伝だと理由づけされていることです。

 あと、同じような意味で「体質だと言われた」ということです。

 遺伝も体質も、今の不快な状態は、解決方法がないので仕方ないという消極的な意味合いで用いられているように思えます。

 遺伝だから、体質だからと、何となく納得されているのですよね。そして仕方ないのだけれども、少しでも楽になりたい・・・

 切ない思いは、よく理解できるのですが、これでは治るものも治りません。

 遺伝とされているもの、体質っていったい何なのかをはっきりと認識すると、この思い込みから出ることができます。


 病因が遺伝とされているものの大半は、生まれ育った環境の影響が大きく作用していると考えています。つまり、先天的なものではなく、後天的に出来上がったものだということです。

 後天的に出来上がったものならば、意識的に変えていくことができると、思いませんでしょうか。

 DNAが日本人でも、アメリカで生まれ育ったのなら、どうしても英語的発想や思考になりますし、食べ物も服装もすべてアメリカの文化が身につき、体質もアメリカンに近くなります。

 家庭も同じで、親の心と生活の習慣は、好むと好まざるとにかかわらず、全てでは無いにしろ引き継いでしまいます。

 東洋医学からみれば、気の使い方や気の動きは、どうしても家族など、周囲の影響を受けてしまいます。

 当然のことですよね。

 『生みの親より、育ての親』なんて言われてますが、遺伝的形質を受け継いだ親より、毎日一緒に暮らしている育ての親に似るという一面もあると思います。


 家系的に、ある病気が世代間を経て現れるのは、ほぼ無意識となっている周囲の環境から引き継がれた習慣であると、筆者は考えています。

 筆者の田舎では、村地域特有の名字があるのですが、おおよそあの名字の一族は○○のような人が多いとかささやかれます。ひとりひとりは違うのですがね。

 これ、国や民族を見ても同じだと思うのです。

 ある国や民族に特有の気質とか病気とかね。

 紀元前に著された、<黄帝内経・素問>という書物には、

 「北方の民は、高い尾根が連なる丘陵に住んでおり、寒風が峻烈なところであり、天幕を用いて遊牧生活を好み、乳製品が食生活の中心であります。

 そのために内臓が寒え、胸やお腹の水分代謝異常を起こし、胸腹がパンパンに腫れる脹満(ちょうまん)という病を生じてしまいます。』

 このように、地域特有の病を、気候風土と文化との関係性で解いています。

 ちなみに、体に良いとされている乳製品が、体液の代謝異常を引き起こしやすいことは、臨床的事実とぴったり符合します。

 詳しくは、右をクリックしてご覧ください → 『鍼灸医学の懐』

 家庭もまた、大きくは日本文化で括られますが、小さくは家族特有の文化があると思います。

 それは、信念であったり、食べ物の嗜好であったり、心の習慣であったりするのです。

 家庭の味とか家庭内の雰囲気などがそれに当ります。

 ここまで書いてきますと、もうお分かりだと思います。

 遺伝や体質と言われているものは、文化的習慣によって出来上がっているのです。

 文化は、時代を経て、その時々に適するようにゆっくりと変化します。

 個人も同じです。良くも悪くも、自分自身の習慣に気づいて、少しずつ意識的に今までとは違った行動をする。

 するとその行動は、新しい習慣となって上書きされるので、遺伝だと思われていたものや体質は、徐々に変容してまいります。

 国の文化の変容も、歴史的にこのように発展してきたと、筆者は考えています。

 よりよい人生を創造していくことは、家族の関係性により良い変化をもたらします。

 さらにその関係性の変化は、地域社会から国家、世界へと広がって行きます。

 世界平和も、個人の健康と充実した生き方が基本となって参りますね。

 みなさま、日々の生活を大切にして、世界平和に貢献いたしましょう!!

 針専門 いおり 鍼灸院